陸の先

振動して、陸が、揺れる
一歩で、痺れが起こる
それに激情した赤い線を
指先から腕に辿って
自傷とは程遠いが針よりは近くまた
刺々しい林よりも近い
この鱗粉に耐えられるか?
と森が誘うが
無様に死ぬつもりもないので惰眠する
白昼夢を見たと言えば喜ばれる憂き世だ
失念した空想が蘇ることはない
生命が続けば安寧もあるが同時に
水飛沫はないだろう
猛烈な雨が影を覆う
振動し音を立てるのは
三日月の、臨終
その先の空白には誰もいないだろう
川のせせらぎはあるだろう、しかし
晴々とした空はあるだろうか?
ただ尺を伸ばした時間が余るばかりで
消沈した身体が液体になる
それは水たまりの油
生きて死んで膨張して灰になる
暗闇の陸、その先を、ひとりで歩く
虹が 続いて、いる