touchdown

モノクロームの火口から
結晶する波音たちへ
さぼり気味の鉛筆で線をひく
いつかの僕が落としてしまった
日記帳の一枚

むすんでひらいての歌のなかで旅をした
照らしだすほうの、ひかりと
映しだすほうの、ひかり
完全球だったころの丘で
一緒に出発した仲だから
戦いの最期まで
きちんと見届けた

(書きもしないで自分のものにできるって
欲しがることができてないからじゃないか)

使い切ってなくなったばかりの色から
崩れて戻らない感情が生まれている
憶えのわるさに見合わない消息にも
新しい身体を投げてしまう

離れて、また
着地するまで
残虐な回数のはなむけを
散らしては、いっぱいに触れようとする
打ち消しあったように静かな
それでも書き留められている朝
いつもの朝に、
皺のない声が「ただいま」と言う

降りてくる
地平線がゆっくりと
弧を描きはじめている