夜明け前

闇か青か
どちらなのか、見極められない
夜明け前

わたしは翅を畳んで
街の片隅に降り立つ

何の地縁もなく
かつては知らない街だった
時に立ち寄り、翅を休め、
何気なく喉を潤す
そんな場所の一つでしかなかった
この街が

番ったあなたの故郷だと
知ったのは、つい先ほど

偶然か必然か
どちらなのか、見極められない
そうであっても、そうでなくても
わたしの翅は
この街で静かに
役目を終えただろう

夜の間に産み落とした
小さくほの白い卵たち

やがて

道の途
闇と青の


隙間
いたるところで

子どもたちは
夜明けに孵る

闇から青へ
あなたとわたし
薄明に溶けて

みなぎる朝の
ひかり